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フリーランス 約13分で読めます

フリーランス新法(2024年施行)完全ガイド|受注者・発注者の実務影響

2024年11月施行のフリーランス新法(特定受託事業者法)の内容を完全解説。取引条件の書面明示、支払期日、禁止行為、ハラスメント対策まで実務への影響を網羅。

2024年11月1日に施行された フリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)。フリーランスを保護するための画期的な法律で、2026年現在、施行から約1年半が経過し実務への影響が見えてきています。この記事では、新法の内容と実務への影響を解説します。

フリーランス新法の概要

正式名称

特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律

目的

  1. フリーランスと発注事業者間の取引の適正化
  2. フリーランスの就業環境の整備

背景

従来、下請法はフリーランスを十分に保護できていませんでした。下請法の対象は「資本金 1000 万円以上の企業から受注する」場合に限定されており、中小企業やスタートアップからの仕事は保護対象外でした。

フリーランス新法は、発注者の規模に関わらず適用されるのが最大のポイントです。

保護される「特定受託事業者」とは

定義

以下のいずれかに該当する個人・法人です。

  1. 個人であって、従業員を使用しないもの
  2. 法人であって、代表者以外の役員がいない、かつ従業員を使用しないもの

わかりやすく言うと:

  • 一人で仕事をしているフリーランス
  • 自分一人の一人会社(社長のみ)

含まれないもの:

  • 従業員を雇用している個人事業主
  • 複数役員がいる会社

新法の 7 つの規定

1. 取引条件の書面明示義務

発注者の義務: 発注時に、以下の事項を書面(電子データも可)で明示する必要があります。

明示すべき 12 項目:

  1. 業務の内容
  2. 報酬の額
  3. 報酬の支払期日
  4. 発注者の氏名・名称
  5. 受注者の氏名・名称
  6. 業務の委託日
  7. 業務の納期
  8. 検査完了日
  9. 報酬の支払方法
  10. 手形の支払条件(該当する場合)
  11. 報酬の支払条件
  12. 検査結果

従来との違い: これまで口頭での発注が多かった業界(デザイン、ライティング等)で、書面による取引条件の明示が法的義務となりました。

違反した場合:

  • 公取委から指導・勧告
  • 悪質な場合は社名公表
  • 最終的には 50 万円以下の罰金

2. 報酬の支払期日(60 日ルール)

発注者の義務: 物品の納入や役務の提供から 60 日以内 に報酬を支払わなければなりません。

例外:

  • 60 日超となる場合は、その理由を書面で明示

実務への影響:

  • 「検収後 3 ヶ月後払い」などの長期支払いが禁止
  • フリーランスの資金繰り改善
  • 発注者側の経理フロー見直しが必要

3. 禁止行為(7 つ)

発注者は、以下の行為をしてはいけません。

(1) 受領拒否

正当な理由なく、納品物の受領を拒否する。

(2) 報酬の減額

契約時に決めた報酬を、一方的に減額する。

(3) 返品

納品後、正当な理由なく返品する。

(4) 買いたたき

著しく低い報酬を不当に設定する。

例: 市場相場の半額以下で発注する。

(5) 購入・利用強制

発注者の商品・サービスの購入を強制する。

例: 「弊社のソフトを買ってください」と強要する。

(6) 不当な経済上の利益提供要請

協賛金、広告費、従業員派遣などを求める。

(7) 不当な給付内容の変更・やり直し

正当な理由なく、発注内容を変更したり、やり直しを要求したりする。

違反した場合:

  • 公取委による指導・勧告
  • 社名公表
  • 罰金(一部)

4. 募集情報の正確な表示

フリーランスに業務を発注する際、正確な情報を表示する義務があります。

禁止される例:

  • 「月収 30 万円保証」と表示しながら実際は出来高制
  • 実際の業務内容と異なる内容で募集

5. 育児・介護等との両立への配慮

6 ヶ月以上の継続的な取引がある場合、育児・介護と仕事の両立ができるよう配慮する義務があります。

具体例:

  • 納期の調整
  • 作業時間の柔軟性
  • オンラインでの打ち合わせ

6. ハラスメント対策

発注者は、フリーランスに対するハラスメントを防止する義務があります。

対象となるハラスメント:

  • セクシュアルハラスメント
  • 妊娠・出産に関するハラスメント
  • パワーハラスメント

発注者の義務:

  • ハラスメント防止方針の明確化
  • 相談窓口の設置
  • ハラスメントへの迅速な対応

7. 中途解除等の事前予告

6 ヶ月以上継続する業務委託契約を解除・更新拒否する場合、30 日前までに予告する必要があります。

予告のない解除:

  • 違反時は指導・勧告の対象

違反時の対応

公正取引委員会への申告

フリーランスは、発注者の違反行為を公正取引委員会に申告できます。

申告の方法:

  1. 公取委のフリーランス窓口へ連絡
  2. 違反内容と証拠を提出
  3. 公取委が調査・判断

申告の保護:

  • 申告を理由とした報復(契約解除等)は禁止
  • 匿名申告も可能

公取委の対応フロー

申告受理

調査開始

違反確認

指導・勧告

改善しない場合 → 社名公表

悪質な場合 → 罰則

フリーランス側のメリット

1. 口約束契約の減少

書面明示義務により、「言った/言わない」のトラブルが減ります。

2. 支払遅延の減少

60 日ルールにより、長期未払いが減ります。

3. 報酬減額への対抗手段

一方的な減額を拒否できる法的根拠があります。

4. 買いたたきへの対抗

相場より著しく低い価格を拒否できます。

5. ハラスメント対策

法的な後ろ盾があり、ハラスメントに対して強く出られます。

発注者側への影響

1. 契約書の標準化が必要

発注時に 12 項目を記載した書面が必須。テンプレート化が必要です。

2. 経理フローの見直し

60 日以内の支払いを実現するため、経理処理を効率化する必要があります。

3. 社内研修

担当者がフリーランス新法を理解する必要があります。

4. 法務チェック体制

契約書のチェックに法務担当者を介在させる企業が増えています。

実務での変化

Before(新法施行前)

  • 口頭での発注が横行
  • 「支払いは忘れた頃に」
  • 一方的な発注内容変更
  • 契約解除に事前通知なし

After(新法施行後)

  • 発注は書面で(メール・電子契約)
  • 60 日以内の支払いが標準
  • 契約変更は両者合意が必要
  • 30 日前の解除予告

トラブル事例と対応

事例1: 報酬減額の一方的要請

状況: 納品後に「予算が足りないので半額にしてほしい」と言われた。

対応:

  1. 契約書を確認(減額に関する条項)
  2. 書面で減額を拒否
  3. 改善しない場合は公取委に相談
  4. フリーランス・トラブル110番に相談

詳しくは フリーランス 報酬未払い対応完全マニュアル を参考に。

事例2: 継続契約の突然終了

状況: 1 年以上継続していた案件が、ある日突然「来月から不要」と言われた。

対応:

  1. 30 日前の事前予告があったか確認
  2. なければ新法違反
  3. 逸失利益の請求を検討
  4. 弁護士に相談

事例3: 書面なしの口頭発注

状況: 納品後に「この業務は含まれてないから追加料金」と言われた。

対応:

  1. 書面での取引条件提示を求めていたか確認
  2. 新法違反として公取委に申告
  3. 合意していた内容を証明する資料(メール、チャット履歴等)を提出

契約書のチェックポイント

新法施行後の契約書では、以下を確認しましょう。

必須項目

  • 業務内容の明確化
  • 報酬金額と内訳
  • 支払期日(60 日以内が原則)
  • 納期
  • 検収期間
  • 検収基準
  • 契約解除の条件と予告期間
  • ハラスメント対応窓口

推奨項目

  • 修正対応の回数制限
  • 著作権の帰属
  • 損害賠償の上限
  • 秘密保持
  • 再委託の可否

詳しくは 業務委託契約書の読み方 15 チェックポイント も参考にしてください。

新法対応の会計ソフト

多くの会計ソフトがフリーランス新法に対応しています。

機能例:

  • 60 日ルールのアラート
  • 取引条件の書面管理
  • 契約書テンプレート

詳しい比較は フリーランス向け確定申告ソフト徹底比較 を参考にしてください。

よくある質問

Q: 従業員を雇用していると保護対象外?

A: はい。従業員を雇用している場合は「特定受託事業者」ではなく、下請法の対象となる可能性があります。

Q: 海外の発注者との取引は?

A: 日本法の適用範囲内であれば保護対象です。ただし実効性には限界があります。

Q: 個人のクライアント(BtoC)からの仕事は?

A: 対象外です。新法は「事業者間取引」を対象としています。

Q: 違反した企業の社名は公開される?

A: 悪質な違反の場合、公取委が社名公表することがあります。抑止力として機能しています。

Q: 新法と下請法の違いは?

A: 下請法は「資本金 1000 万円以上」の発注者が対象ですが、新法は発注者の規模に関係なく適用されます。

新法を活用するコツ

1. 書面を必ず残す

メール、チャット、電子契約など、何らかの形で書面化しましょう。

2. 違反を感じたら早めに相談

  • フリーランス・トラブル110番(無料)
  • 公取委のフリーランス相談窓口
  • 弁護士

3. 相場を把握する

「買いたたき」を主張するには、業界の相場を知っている必要があります。

4. 団体に加入する

  • フリーランス協会
  • 業種別の組合

集団の力で発注者に対抗できます。

まとめ

フリーランス新法は、フリーランスの 歴史的な保護強化です。

フリーランスの 5 つの行動指針:

  1. 書面を要求: 口頭発注を受けない
  2. 支払条件を確認: 60 日以内が原則
  3. 相場を知る: 買いたたきに対抗
  4. 契約書を理解: 不利な条項を拒否
  5. 違反は申告: 泣き寝入りしない

新法の施行から 1 年半が経ち、徐々に業界全体が適正な取引に向かっています。フリーランスとして自分の権利を知り、適切に活用していきましょう。

法律に関する疑問は、フリーランス協会や弁護士に相談するのが最も確実です。知らないことで損をしないために、まずはこの記事の内容を押さえておいてください。

参考リンク

#フリーランス新法 #法律 #契約 #法務
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